shigechi-64's diary

自由・自主・自立・自尊

騎兵第一旅団凱旋歌(秋山好古)

司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」の主人公の一人、秋山好古(あきやまよしふる)が、作った歌がなんとなく好きなので掲載してみます。

この歌は、日露戦争が終わってさあ日本へ帰るぞというときに、共に戦った配下の将兵に対する訓示として作られたといいます。卒業式での校長先生の式辞、みたいな感じでしょうか。単なる挨拶にとどまらず、五七調の軽妙なリズムのなかにメッセージが込められていて、洒脱な印象を受けます。昔の偉い人は必ずといっていいほど漢文の素養があったので、こういう歌がさほど苦労せずに作れたんでしょうか。それにしてもセンスがあるなと思います。

実際に何巻に出てきたかちょっと忘れてしまいましたが・・・

我が親愛の戦友よ 振古未曾有の日露戦
生死を共に曲家店 得利寺 蓋平 大石橋
遼陽 沙河に沈旦堡 奉天 鉄嶺乗り越えて
開原 昌図 鴜鷺樹戦
大小数十の戦いに 一度の敗を取らずして
平和克復ここに成り 数日の後は汝らと
親しき故郷へ帰るらん

(中略)

別れに臨んで教え草 先づ筆取りて概略を
自労自活は天の道 卑しむべきは無為徒食 一夫一婦は人道ぞ
酒色の欲を戒めて 品性修養怠るな
日が暮れたなら天を見よ 常に動かぬ北斗星

坂の上の雲 <新装版> 1

坂の上の雲 <新装版> 1