映画『MAGIC』
見ました。
前から見たいと思っていたんですが、ちょうどTSUTAYAで見かけたので早速借りてみました。
コーキー(アンソニー・ホプキンス)はさえない手品師。場末のクラブのステージで毎夜マジックを披露するが、地味なルックスも手伝って一向に人気が出ない。しかし、客の注目を集めようと腹話術を交えたマジックショーを始めたところこれが大当たり。人形のファッツとともに一躍人気者になる。
順調に仕事を増やしテレビ出演の契約も決まりかけた矢先、彼は突然姿を消してしまう。多忙により精神的に疲労していた彼は、衝動的に故郷の町に帰ってきてしまっていた。そしてこの頃から彼は人形のファッツに対し違和感を感じ始める。ただの商売道具に過ぎなかった人形が、練習やステージを繰り返すうち、あたかも生きた人格を持っているかのように感じられてきたのだった。
「俺はどうかしてしまったのだろうか・・・?」
そこへマネージャーのベンが彼を連れ戻そうと追いかけてくる。ファッツを片時も手放さないコーキーを不審に思ったベンは、彼にひとつの提案をする。それは「ファッツを5分間黙らせる」ことだった。簡単さ、とファッツを手放すコーキーだったが・・・
アンソニー・ホプキンスの演技も素晴らしいんですが、人形の存在感が凄まじいです。
随所に人形の姿や顔アップが挿入され、何とも言えない不気味さを醸し出します。そして操っていたはずの人形にだんだん操られていくコーキー・・・ある意味主演はこの人形かも、とまで思ってしまいます。
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ちなみにこの映画、Metallicaの「Sad but True」の元ネタです。この映画を見たあとに歌詞を読んでみると、なるほどなーという感じがします。
椅子
今日とあるカフェで座った椅子がものすごく座りにくくて難儀しました。
背もたれが垂直で、しかも高さがあるので後ろに上体をそらす姿勢がとれない。一定の姿勢でじっと我慢できない自分にはすごく辛かった。座面も木なので固いし、回転早めるためにわざとそうしてるのかしら?と思ってしまいました。
デスクワーカーにとって椅子は大事です。
デスクワークには体に合った椅子が超重要!はてなデザイナーに人気の椅子を調査してみました - Hatena Design Group
安部公房『砂の女』
読みました。
閉鎖的なコミュニティと、そこから抜け出したいけど抜け出せない、でも安住してしまえばそれはそれで安らかに暮らせないこともない、見えない牢獄のようなものを描いているのでしょうか。比喩の表現が豊富で、砂のざらっとした感覚が伝わってくるようでした。
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内田樹『日本辺境論』
読みました。
これは非常におもしろかったです。トビラに読み出したら止まらない、とありましたが本当に止まりませんでした。日本論好きならば読んで損はないと思います。
個人的に最終章の日本語について書かれているくだりがおもしろかったです。日本語ってハチャメチャだなぁとよく思っていますが、もしかしたらこれでいいのかもという気分になりました。この本を読む前に「日本語が亡びるとき」も読みましたが、この特殊すぎる言語は確かに守っていくに値するものかもしれないと今は思っています。
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「醤油の話」
鎌倉時代のお坊さんで覚心という人がいました。この人はあらゆる仏教の宗派を生涯かけて渡り歩いた人らしいですが、それほど勉強した割にはのちの仏教に影響を与えるほどの業績を残しませんでした。
ただ味噌が好きで、特に宋に留学していた頃に食べた味噌の味が忘れられず、日本でも同じものを作りたいと思いました。
炒った大豆と大麦のこうじに食塩を加えて桶に入れ、ナスや白瓜などをきざみこみ、密閉して熟成させるのです。これは現在「きんざんじみそ」と呼ばれるなめ味噌の元祖ですが、この味噌桶の底に溜まった液で物を煮ると美味であったらしく、これが醤油の原型となったそうです。
私がおもしろいとおもうのは、覚心の人生である。かれは愚直なほどに各宗の体系を物学びしたが、古い宗旨の中興の祖にもならず、また一宗を興すほどの才華もみせなかった。
しかし以下のことはかれの人生の目的ではなかったが、日本の食生活史に醤油を登場させる契機をつくった。後世の私どもにとって、なまなかな形而上的業績をのこしてくれるより、はるかに感動的な事柄のようにおもわれる。
6ページくらいの短い話ですが、人の人生というのはおもしろいなぁと思いました。
司馬遼太郎が考えたこと〈12〉エッセイ1983.6~1985.1 (新潮文庫)
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